言わせないでよ、こんなこと。【KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト 第二弾(2024)】

2月8日。お久しぶりにKAATに行ってきました。

去年最後に足を運んだのいつだっけ…? と思いつつ、

『貌』

これ見るの初めてな気がするので、シーズン『貌』はほとんど見に行ってないかも…?

アトリウムには、春節玄奘三蔵御一行様

もはや定番。「今年も会えたね!」と嬉しくなりました。

さて。

今回の目的はこちら。

KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト、第二弾

三浦半島の人魚姫』と『箱根山美女と野獣』の二本立てです。

長塚圭史さんの新しい戯曲、それに前回の『冒険者たち』から続投の菅原永二さんが出演されているとのことで楽しみに見に行ったのですが…ですが…。

 

良い感想はもう公式が拾ってるし、KAATでの公演は終わってるのでいいよね? 素直に書いても大丈夫だよね? ツアーで見る予定の方はこの先の記事読まないでくださいね!!!

 

ものっすごいつまんなかった!!!!!

 

素直な感想を書きます。

 

◇ ダメだったところ。

三浦半島の人魚姫』

・出演者の女性俳優ふたりの演技がひどすぎる(これについては後述)

・謎のダンスシーンが多く、その上ダンス自体が凡庸で面白くない

・ストーリーはいつもの長塚脚本だな…という感じではあったが、菅原永二さん扮する園長にすべてを委ねすぎ

・というか全体的に菅原永二さんに頼りすぎ

・急にお名前を出して申し訳ないが、近藤良平さんの影響受けすぎ

・二度目になりますがダンスがマジで面白くない

箱根山美女と野獣

・話が面白くない、びっくりするぐらいつまらん

・繰り返しになりますが、出演者の女性俳優ふたりの演技がひどすぎる

・なんかこう…ちょっと捻ってみました! みたいなキャラ設定がしんどい

ボイスチェンジャー……寒くない?

・話が本当につまらなくてもうほとんど思い出せない

◇ 良かったところ

三浦半島の人魚姫』

菅原永二さん

箱根山美女と野獣

・異性装の男性でなく『女性』の役柄をきちんとやり切った菅原永二さん

◆ 最悪だったところ

・アフタートークにて明かされた、今回出演の女性ふたりはもともとダンサーで台詞がある舞台に出るのは初めてだということ。
もちろん、ダンサー(であれ一般人であれ、とにかく俳優を本職としていない人)が初めて台詞がある舞台に出てはいけない、などとはまったく思わないが、あまりにも仕上がりが最悪すぎて、「私の愛する長塚圭史さんという演出家はこのレベルの演技でGOを出しちゃう人だったのか…?」と疑いの気持ちを抱いてしまった。

・私が見たのはアフタートークがある回だったのですが、登壇したダンサー某氏が長塚さんにタメ口を利き、「え、ちょっと言ってる意味わかんない笑」などと過度にフランクに接していたところ。演出家を崇め奉れとは言わないが、アフタートークって内輪の雑談のために行われるものなんですか? 知らなかったな。ダンサー氏は知り合いに手を振ったり目配せしたりとずいぶん身内に手厚く行動していましたが、基本的に観客は置いてけぼりなんだな〜って感じました。シンプルに感じ悪くて嫌いになったので、氏の名前を見かけたらできるだけ避けるようにしようとすら思いました。 

・ダンサー某氏とは2年前にSAFで行われた近藤良平さん演出の『新世界』で知り合ったという裏話。マジで近藤良平さんの影響受けすぎ。ダンスを取り入れるなとは言いません(上段で書いたのと同じく)。でも、近藤良平さんが行うような公演を目指すのであれば、今回のダンスはあまりにもお粗末・意味不明じゃなかったですか? 人魚のラストシーン及び美女と野獣の無駄なポーズ見せ、普通に恥ずかしかったです。見てて。オープニングで「振り付け担当!」と俳優さんを紹介されて(タメ口氏とは別のダンサー)なるほど〜と思って見始めてしまったので先方への印象、「すごいつまんない振り付けする人」になってしまいました…不幸な出会い…。 

そのような感じです。他にも色々アレな点があった気がするんですがもう忘れた。記憶から消したい。
 
不満の後にとってつけたような感想で申し訳ないのですが、片岡正二郎さんとトウヤマタケオさんはとっても良かったです。演技も演奏も。菅原永二さんも求められている役回りをきっちりこなしていてプロだな〜と感じました。御三方がいらっしゃらなかったら、私は途中で席を立っていたと思います。

今回の舞台が本当に良くなかったということはKAATにもご感想として送るつもりでいます。KAATと、長塚圭史さんが好きなので。しょうもない舞台やんないでほしい、マジで。
 
以上です。観劇後ここまでの虚無に包まれたのは久しぶりだったのでブログ書くのに時間かかってしまいました。本当にしんどい。でも直後に別の舞台見て元気出したので、その感想も近いうちに書きますね…!!

新年明けましてドール日記【日常】

2024年ですね。今年もよろしくお願いします。

何かがないとブログを書かない人間なので、またドールの話をしに来ました。

前回はこちら。

dead-stock-txt.hatenablog.com

去年の12月18日にお迎えしたドールを、これでもかと愛でております。人生がめちゃくちゃ楽しい。完全に一目惚れしてお迎えしたドールなので、メイクもボディも全部好みで、眺めているだけでQOLが爆上がりします。書き物が捗らない時などにパソコンの前に置くと「仕事をしない私はこのドールには釣り合わない! ちゃんとしよう!」と言う気持ちになるのでおすすめです。おすすめ?

 

実は新しい子もお迎えしました。

Gem of Doll "Satina"

昨年のブラックフライデーの際にお迎え手続きを行い、年明け早々に来てくれました。Gemさま、仕事が早すぎる。(発送もド年末だったので「冬休み取って!!」って思わず叫んじゃった…)

めちゃくちゃめんこい。ほっぺがふくふくしてる癒し系です。11月の私のメンタルの不安定さが凄まじかったので、「癒しを求めてこの子を選んだんだろうなぁ」と他人事のように噛み締めています。

 

先住と後輩、微妙な距離感

仲良くなれるかな…? どうかな…? 私はドールオーナーの中では『ウェット』に分類される方だと思うので、ドールに人格があるし、喋ります。先住っ子と後輩っ子が今後どれぐらい仲良くなれるのか、或いはなれないのか(なれなかった場合は別々のタイミングで写真を撮ったり着替えさせたりするので別に問題はないと思ってます、人間同士もそうだけど、絶対全員が仲良くならなきゃいけないわけではないので)という点も含めて見守っていきたいです。

 

でもまあ、仲良くなれたら嬉しいよね

可愛いですね。可愛い。

今年も可愛いものや美しいものに救いを求めながら生きていこうと思います。2024年も、どうぞよろしくお願いいたします。

秋葉原見聞録・続【日常雑記】

行ってきました。アキバに。今年二度目。

始まりは、昨晩Twitter(X)で見かけたこのお写真でした。

かっっっっっっわいい!!!!!

いや、え、どういうこと? 今(※昨日の夕刻)秋葉原に行けばこの子に会えるということ? それどころかお迎えも……でも初入荷って書いてあるしそんな何人もいるわけではないよね? ええっ、ひとりしか……この子はひとりしかいないし、お迎えできなかったらなんか一生後悔する気がする……!!!!

 

という気持ちで夜を明かし、今日、アキバに走りました。開店した瞬間店に入ってすみません。店長さんとっても優しかった。ウィッグやお洋服に迷いまくる私の背中をどんどこ押してくれて、本当にニコニコでお店を後にすることができました。感謝ばかりです。

ということで、この年末に突然のお迎えをしたFatemoons/蓝さんをご紹介します。

DOLKさんの大きな袋&Fatemoonsさんのドールバッグ!

既に嬉しい。

本棚で撮影 趣味の偏りがすごい(書籍の)

いやもう〜〜〜〜〜〜〜〜めっちゃ可愛い!!! 可愛い可愛い言ってるんですが実際ご本人に会ってみると「思ってたより男の子だ!」という感じで(うまく言えない)逆に安心してレディースのお洋服を買って帰ってきてしまいました。何着ても似合うよ。可愛いよ。あと色移りがちょっと怖いので(お肌めっちゃ白い)黒っぽいお洋服は私がもう少し蓝さんとの関係に慣れてから買おうかな…と思いました。お着替えさせるのも緊張する。

白チャイナ似合いますね!きゃわ!今の季節は寒そうなので羽織も買いました

最高です。ニッコニコ。本当に予想外の出費を……マジで冷静になるとヤバ……という感じですが後悔はございません! お迎えできなかった時の方が落ち込みまくってもっとヤバになってたと思うので。大丈夫!!!!!!(やや大丈夫じゃなさそうな大丈夫)

 

そんな感じで楽しい1日でした。いっぱい写真撮るぞ〜!

『戦場帰りの男はいいぞ』は良くない。【映画】

これは、私個人の意見であり、議論を行いたくて書くものではありません。ただこのモヤモヤした気持ちを抱えたまま年越しを行いたくない、という気持ちで文字を打ち込んでいます。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の感想、解釈、及び二次創作に対し、否定的に触れている部分があります。読みたくないな、と感じた方はここでやめた方がいいかもしれません。

繰り返しになりますが、私の個人的な意見です。

 

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は良いアニメ映画だったと思います。水木しげる先生(この先は敬称略とさせていただきます)生誕100年を祝う花火のような映画だったし、水木しげるが大切にしてきたもの、魂にそっと触れるような作りの作品でした。この時点で『因習村!』『犬神家の一族!』というSNSに於ける評判にほんのり嫌悪を感じています。

 

映画を見て、ああ面白かったな、とSNSを覗いたところ、まあ当たり前なのかもしれないんですが作品のメインキャラクターである男性ふたりをカップリングにした二次創作が溢れていました。申し遅れましたが私もオタクです。成人男性がふたり以上存在する作品に触れると、一旦は受け攻めを決めたり、カップリングを組んだりしてみるタイプのオタクです。ですので、メインキャラ同士のカップリングについては「私はそういう気持ちにはならなかったけれど、こことここと組みたい人もいるんですね」という感情を持ちました。

 

問題はその後、でした。

 

正確にはこういうフレーズではなかったかもしれません。

『戦場帰りの男はいいぞ』
PTSDを抱えていて、嘔吐する男はいいぞ』

『戦場で上官から暴行を受ける男はいいぞ』

このような『〜はいいぞ』がSNSに氾濫しているのに気付きました。正直、何を言っているのか全然理解できませんでした。理解できなさすぎて、一瞬SNSから離れたりもしました。当該作品に対する二次創作物がすべて嫌悪の対象になりました。今は、違います。多少考えがまとまったので、こうして文章を書いています。

 

まず。

『戦場帰りの男はいいぞ』

このフレーズに関しては、何度か検索をしてみたのですが、まったく同じフレーズは発見できませんでした。何かと何かを組み合わせて私の脳が勝手に作り出した文章かもしれません。ですが、『戦場』から戻ってきた『心に傷/トラウマ/PTSDを持つ男』を『いいぞ』と消費する感想や二次創作作品については、数多く見かけることになりました。

『戦場』は良くないものです。そこから話をさせてください。劇中の戦場帰りの男・水木──原作者である水木しげると同じ苗字を持つ男──が放り込まれた戦場は、第二次世界大戦です。戦後は遠い、もはや戦後ではない、とはよく言ったものですが、これほどまでに遠くなってしまったのでしょうか。第二次世界大戦という最悪戦争の中での日本という国の立ち回り、日本から戦地に送られた人間たちがどれほど多く殺し、殺され、殺人以外にもさまざまな悪に手を染め、奪い、奪われ、そんな中幸いにも死なずに帰国した復員兵たちが心にどれほどの傷を抱えたのか、考えることはないのでしょうか。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のふたりの主人公の片割れの名が『水木』だと知った時、私はすぐに原作者の水木しげるを連想しました。左腕があるとかないとかそういう話ではなく、『戦場から生きて戻った男』『戦場を見て、聞いて、手を下して、そのすべて記憶に苦しむ男』としての『水木』だと思いました。水木しげるの著作には、第二次世界大戦の戦場を舞台にしたものがあります。『総員玉砕せよ!』、有名ですよね。『〜ゲゲゲの謎』を楽しむに当たって、著作を絶対読め、とは言いません。そういう話をしてないです。ただ、疑問でした。行きたくもない戦場でやりたくもない戦争をさせられ、息絶え絶えに帰国した原作者と同じ名前を冠するキャラクターの戦時中の記憶やPTSDを「いいぞ」と消費する感性が、私にはどうしても受け入れることができませんでした。

 

戦場は、よくありません。戦争も、よくありません。戦場から帰ってきた男が『いい』はずないんです。『PTSD』だって抱えない方がいい。その上、戦場で上官から無理やりに暴行(性的である/ないに関わらず)を受けていたら──いい? それってどこの戦場ですか? 今ここで慰安婦問題についてとか書くつもりはありません。ただ。『〜ゲゲゲの謎』の水木が経験した戦場は、本当にあった戦場です。水木しげるが従軍した第二次世界大戦。地獄のラバウル。仲良くしていた数少ない上官が自害したニューブリテン島。マラリアに罹ったジャングル。失われた左腕。『〜ゲゲゲの謎』の水木=水木しげるではないことは、分かっています。それでも、「『〜謎』はフィクションだから、フィクションの世界の戦場で上官からレイプされる男はいいぞ!」というのはあまりにも倫理? 違うな。なんだろう。何かが欠けている。それが何なのか、今書きながら、言葉に迷っています。ただ、『戦場帰りの男はいいぞ』。これは本当に受け入れられない。フィクションの世界で、ファンによる二次創作で、一切合切すべてが妄想であるとしても、戦場で起きた/起きたかもしれない出来事を『いいぞ』と消費するのは、あまりにも誠実じゃない。

戦争は実際にあった。水木しげるはそこから戻ってきた作家です。その作家の生誕100年記念映像作品から生まれてくる感想、『戦場帰りの男は』『PTSD持ちの男は』『上官に性的暴行を受ける男は』『いいぞ』。

繰り返しになりますが、これは私の個人的な感想です。だから「おまえが無理だからって全否定してくるなよ」と思われたらそこで終了です。議論する気はありません。これは私の感情です。

 

もう少しだけ。

たとえば戦場帰りの男の話。徴兵され、海を渡りこそしなかったものの『戦争』を体験した監督。岡本喜八監督。「戦争に行きたくない。死にたくない」と故郷から逃げたにも関わらず、実の母親の密告によって憲兵に捕らえられ、中国の戦場に送られたのは俳優の三國連太郎さんです。さて。岡本喜八監督の映画といえばやはり『独立愚連隊 西へ』でしょうか。戦場を描いた作品です。コミカルな描写が印象に残りますが、「人間の命は地球より重いか軽いか?」という台詞が染み入ります。三國連太郎さんは、戦場で銃を手にすることはなかった、と聞いたことがあります。殺したくも、殺されたくもない、切実な気持ちがそこにはあります。

 

『戦場帰り』『PTSD』『上官からの性的暴行』を『いいぞ』と感じる人の心を変えようとは特に思っていません。無理だし。ただ私は、それらの要素を『いいぞ』とは思えず、SNSに向き合うのもしんどく、何なら『〜謎』を見たことを後悔すらしたのですが──ようやく気持ちがまとまったので、こうしてブログに書いています。

 

そういえば、私の大好きな俳優、勝新太郎さんと田宮二郎さん主演の『悪名』というシリーズがありまして。二作目に当たる『続悪名』で勝さん扮する朝吉に召集令状が届き、戦地に送られてしまうんですね。その際、朝吉の妻を含めた周りの人々は「お国のために」と宴を開いて朝吉を盛大に送り出そうとする中、田宮さん扮するモートルの貞だけが「死なないでほしい」と朝吉に告げるシーンを、この文章を書いていて思い出しました。

戦争に行くと、人を殺さなくちゃいけない。死ぬかもしれない。心に一生消えない傷を負うかもしれない。誰かの心を傷だらけにするかもしれない。大事な人には、戦場になんて行かないでほしい。戦争なんて起きなければいい。今もこの世界のどこかで戦争は起きていて、いつ終わるのかも分からない。大勢が死んでいる。心に傷を負っている。命と尊厳を奪われ続けている。

 

『戦場帰りの男はいいぞ』──本当に?

私は、良くないと思います。以上です。

そこには愛はなく、狂気もなく、情もなく、首だけがあった。【首(2023)/映画】

マージでなんにもねえ〜〜〜〜。

『狂ってやがる。』

北野武監督最新作『首』見てきました。面白かったです。面白かったっていうか……これは……なに!? 私は何を見せられているの!? と混乱爆笑混沌の2時間11分。最高でした。

 

ネタバレします。

 

戦国時代。織田信長は謀反を起こした荒木村重に大激怒。何がなんでも荒木を探せ、手柄を立てた者には跡目を取らせるとまで言い放ち、明智光秀羽柴秀吉をはじめとする武将たちは熱心に荒木探しを始めるのでした…………みたいな話ではあった。たしかにそうだった。

 

なんかもう、物語の温度が変なんですよね。事前情報として得ていた通り、北野監督がかなり「戦国時代の男色、衆道」に興味を持ち、その辺りを軸をして物語を組み立てているというのは理解できるんですけど、男同士のあれこれに期待して見に行くと完全に火傷します。気を付けろ! これは後述しますが、北野武監督のファンガールとして長い年月を過ごしてきた私としては、「ついにこれを描くようになったか〜」という謎の感慨がありました。いやあ。すごいですよ。

 

まさかの恋に生きる男荒木村重、ひとりだけ真面目に「戦国武将」をやろうとしているせいで逆に意味不明になっている明智光秀、「俺はこういうのよくわからん」と先に言い出すことでしっかりとした軸を持つ羽柴秀吉尾張弁で捲し立てたり性的なシーンもバキバキにこなす「「「愛」」」を履き違えた男織田信長、兄者大好き!羽柴秀長、常にちょっと疲れている黒田官兵衛、異常にイケてる徳川家康、監督の愛を一身に受けている服部半蔵……登場人物大体こんな感じかな? 抜けがありそう。あ、自分以外の全員を愚か者だと思っている千利休もよかったな。あと裏主人公の木村祐一中村獅童(役名失念ごめん)。

 

たしかにこれは男と男の物語で、ホモソーシャルの煮凝りのような空間で好いた惚れたをやってみたり、「これは愛情の裏返し」というとんでもねえ発言が飛び出したり、劇中で動物に危害は加えられていないものの明智光秀には危害がめちゃくちゃ加えられていたり…と思い出すだけでもう、ここはコント戦国時代。ただ思っていたほど架空の戦国時代ではなくて、個人的に押さえてほしいところ(光秀が村重を選ぶはずないだろ利三優先だろ)(淡々と無限影武者を繰り出す家康)(仲良し陣営っぽい羽柴三人衆もそこそこ不穏)(家康は醜女が好き!!!!!!!!)はきちんと押さえられていて、北野監督はかなり事前リサーチを色々されたのだろうな〜とは感じました。これよりもっと無茶苦茶な架空戦国時代、いっぱい見かけるご時世なので…。

でもあれこれ端折ったり、そことそこと繋げるんだ!?(メインになる三角関係)とかは普通にびっくりしたので、見る前にざっくりでいいから戦国時代の人間関係とか検索して行くと見易いかもしれないなとも感じました。

 

はい。日記のタイトルに戻ります。ここには、『首』の世界には何もない。愛もない。忠義もない。情けもない。そして『狂ってやがる。』という割に狂気もない。何もないんです。驚くほどに何も。何もない世界で、みんなが『信長の跡目』という空約束のために空回りしているの、「コント戦国時代だ!」と思うとワハハ!って笑っちゃうんですけど、冷静に考えたらすごい怖くないですか? 怖いよ。

 

さらに言うと、北野武監督がこの世界をこういうふうに構築したっていうのにすごい意味があるなって思って。これは私解釈なので異論は認めますがぶつけないでほしいんですが(議論はしたくないので)、北野監督といえばホモソーシャル映画を得意とする監督の代名詞みたいなところがあるじゃないですか。『ソナチネ』で孤独な男の一瞬の輝きと破滅を、『BROTHER』で国籍も年齢も超えた男と男の愛を(そしてその愛のために死ぬのは冷蔵庫の女ではなく冷蔵庫の男である)描き続けていた北野監督が、「いや…ホモソってそんな良いものじゃねえんじゃないか…?」と気付いたのかな? と感じたのが『アウトレイジ』三部作でした。一作目はソナチネBROTHERに通じるホモソのキラキラ感があるんですが、ビヨンド、そして最終章と進むにつれて【ホモソーシャルという絆】の輝きはどんどんなくなっていく。濁っていく。最終章のラストシーンでは、【ホモソーシャルという絆】なんてものは死んだと言っても過言ではない。(大友・市川の関係にはホモソーシャル以外の言葉を与えたいのでちょっと今回は言及しません)

そうして、満を持しての『首』です。羽柴秀吉ビートたけし)が言う通り「よくわからん」がきっと正解で。そんな中どこにも存在しない愛を求め続ける荒木村重とか、愛が欲しいのか出世したいのか信長を殺したいのか訳分かんなくなってる明智光秀とか、全員に愛されたいけど全員を殺した〜い!な織田信長とか。もう好きにしてくれよ。っていう。ね。面白いなぁ。

面白いといえば今作にも『冷蔵庫の女』が存在しないのは素晴らしかったですね。あと私は先述した通り家康醜女好き説がめちゃ好きなので(柴田理恵さんは醜女ではないですが!!!!)その辺採用されててニコニコしました。

 

そこには首しかなく、首にすら価値はないのでした。

そういう映画、『首』、とても好きです。

11月最終日!【日常雑記】

あと数時間で12月! 毎日書くと誓った11月日記も本日が最終日となります。何もなかった日とか虚無日に本当に「何もなかった」「虚無」と書く素直すぎる日記でしたが、ご愛読ありがとうございました。最終日、めちゃくちゃ盛りだくさんで参ります。

 

というのもですね、今日は前々からお友だち(SNS経由で知り合い、オフでもいっぱい遊んでもらっているラブなお友だち…!!!)と約束していたデザートビュッフェの日だったのです。場所は西新宿、ヒルトン様。まだ11月なのにテーマはクリスマスです。季節の先取りが過ぎる。でも冷静に考えたらハロウィン終了即クリスマスなんですよね世の中は。どうなっているのかこの国は。11月ってそんなにイベントない? 私の誕生日も勝新太郎さんの誕生日もあるのに?

などという与太はともかくとして、ヒルトン様のビュッフェは本当に最高…! お写真載せます!!!

カラフル〜!ホリデーって感じ!!

スイーツや軽食をお皿に盛る列に並びながらバシャバシャ撮影してました。写真があまりうまくないのはお許しいただければ…。

甘いものももちろん美味しいんですけど、箸休めの軽食もすごく食べ応えがあって大好きです。お野菜からお肉まで…もりもり食べてしまった…。

盛った写真。盛り方が下手!

お皿も綺麗。目一杯食べるつもりでお昼も抜いていったのに、開始60分くらいで満腹感に襲われてどうしようかと思いました。どうにもならない。頑張って食べました。

お友だちと会うのはなんやかんやで結構久しぶりで、映画の話、推しの話、最近の悩み事などなどたくさん喋ってたくさん聞いてもらって、直接話を聞いてもらってこそ救われる魂がある…!って噛み締めました。いや本当に。救われました。ここのところ頭を悩ませていた案件についても聞いてもらえて、元気に12月に突入できそうです。感謝です。ありがとう!

推しドール警視ちゃんさんもビュッフェ初参加。

小瓶みたいなのに入ってるのはホットワインなんですが、めちゃくちゃ美味しかった…私はお酒あんまり飲めない方なんですがホットワインは好き。たっぷりいただきました。

クリスマスオーナメントのところで記念撮影!

キラキラに撮れてよかった!

更に更に!

誕生日プレゼント、いただきました♡

祝っていただいてしまい恐縮です。今日は何から何まで本当に最高の1日でした。ありがとうお友だち! ラブ! 明日からも不貞腐れることなく、小説を書いたり色々して元気に生き延びていこうと思います。

そんなこんなで、11月日記は本日で終了です。でも今後もいい映画を見たり舞台を見たり本を読んだりしたらこまめに記録はつけていきたいな〜と思っているので、どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

誕生日。【日常雑記】

勝新太郎さんのお誕生日です!!

もうそれだけで良い日。

 

1931年生まれなので、ご存命なら92歳。私が勝さんを好きになったきっかけは…なんだったっけ? 『兵隊やくざ』か『悪名』どちらかが最初だったと思うんですけど、決定的に「この人のこと大好きだ」って思ったのは横浜ジャック&ベティで『座頭市物語』と市川雷蔵さんの『斬る』を二本立てで見た時でした。

当時私は香港映画を良く見ていたんですが、その中のなんというかファンダム?に馴染めなくて、年上の香港映画ファンの方の過剰なマウントに疲れ果てていました。文章にすると結構しょうもないことなんですけど「あなたはこの作品見たことないよね? まあ私はソフト持ってるけど」「えっ、●●(俳優)好きなのに▲▲(プレミア付いてるソフト)買わないの? 売ってるのに? まあ若いから仕方ないか〜w」みたいなクソどうでもいいことを言われ続け、もうなんか疲れちゃって「映画見るのやめようかな」と思っていた時期でした。

ジャック&ベティで『座頭市物語』上映するよ! 勝さんと仲良しの雷蔵さんの『斬る』と二本立てだよ! という情報を得て、横浜で映画を見て、もう映画を見るのはやめようと思いました。嫌なファンダムに首まで浸かっていた私は「『映画を好き』という気持ちだけで映画好きでいてはいけない」「『映画が好き』『俳優が好き』ならお金を払って高いソフトを購入しなくてはいけない」と思い込んでいました。

それを全部吹き飛ばしてくれたのが、勝さんの『座頭市物語』でした。

私は勝新太郎さんがリアルタイムで生きて喋っているところを見てない世代です。なので、映像の中の勝新太郎さんがすべてです。電車に乗って映画館に行って、チケットを買って、席に座って。上映が始まって。『斬る』が先で、二本目が『座頭市物語』で。『斬る』に圧倒されてうわわ……となっている目の前で『座頭市物語』が始まって。見て。

「『映画が好き』なだけで映画を好きでいてもいい。今しんどいなら全部やめて、俺の映画を見ればいい」

ってスクリーンの中から声が聞こえてきた、みたいな。そんな気持ちになりました。

 

全部やめました。面倒なファンダムも抜けました。勝新太郎さんの映画が上映されると聞き付けて、色んな名画座に通うようになりました。これはコロナ禍以前の記憶であり記録なので現在とはかなり違う面もあるとは思うんですが、勝さんの映画を見に行くと年嵩の男性のお客さんが多かったような気がします。仕事を終えて、勝さんが監督・主演した『顔役』を見たくて上映開始ギリギリに駆け込んだ私に「この席空いてるよ!」って教えてくれたおじさん、今も映画館に通ってますか? せっかく勝さんのなんらかの記念上映(なんだったっけな)に来たのに隣の席の女性がずっとスマホをいじってて、消してくれませんかって言ったら「上映始まったら消す」って言われて席ガチャしくった〜って頭を抱えてる私の反対側の隣の席から「今すぐ電源落として、迷惑だから」って言ってくれたお兄さん、お元気ですか。(あとでお礼言ったら「(私)が注意した時に消せって話だよね」って笑ってました)

いや、男性との思い出ばかりじゃないな。市川雷蔵さんとの共演作品を見に行ったら雷蔵さんのファンと思しき和服姿の素敵なご婦人がいっぱいいて、素敵だ〜って思ってたら私を見付けてくれて「若い方が雷蔵さんを見に来てる!」って喜んでもらったこともありました。なんか全部が懐かしいや。

 

勝さんのおかげで、私は今も映画が好きです。面倒臭いファンダムにはその後も色々と関わってしまったけど(香港映画以外でもなんかもうめんどくさいなぁ!という人間関係がいっぱいあった)、私は常に「勝新太郎さんがいちばん好き」という気持ちで生きてます。もう映画見るのやめようかなと思う瞬間ももちろんあるけど、あの日の映画館からの帰り道を思い出すと元気になれます。

大丈夫。私は大丈夫。私を大丈夫にしてくれてありがとう。

 

勝新太郎さん、お誕生日おめでとうございます!

画像は貼らない! 転載になっちゃうからね! 

私のおすすめはもちろん『座頭市物語』、そして『顔役』です。勝新太郎さんは最高で最強。

ではね。