誕生日。【日常雑記】

勝新太郎さんのお誕生日です!!

もうそれだけで良い日。

 

1931年生まれなので、ご存命なら92歳。私が勝さんを好きになったきっかけは…なんだったっけ? 『兵隊やくざ』か『悪名』どちらかが最初だったと思うんですけど、決定的に「この人のこと大好きだ」って思ったのは横浜ジャック&ベティで『座頭市物語』と市川雷蔵さんの『斬る』を二本立てで見た時でした。

当時私は香港映画を良く見ていたんですが、その中のなんというかファンダム?に馴染めなくて、年上の香港映画ファンの方の過剰なマウントに疲れ果てていました。文章にすると結構しょうもないことなんですけど「あなたはこの作品見たことないよね? まあ私はソフト持ってるけど」「えっ、●●(俳優)好きなのに▲▲(プレミア付いてるソフト)買わないの? 売ってるのに? まあ若いから仕方ないか〜w」みたいなクソどうでもいいことを言われ続け、もうなんか疲れちゃって「映画見るのやめようかな」と思っていた時期でした。

ジャック&ベティで『座頭市物語』上映するよ! 勝さんと仲良しの雷蔵さんの『斬る』と二本立てだよ! という情報を得て、横浜で映画を見て、もう映画を見るのはやめようと思いました。嫌なファンダムに首まで浸かっていた私は「『映画を好き』という気持ちだけで映画好きでいてはいけない」「『映画が好き』『俳優が好き』ならお金を払って高いソフトを購入しなくてはいけない」と思い込んでいました。

それを全部吹き飛ばしてくれたのが、勝さんの『座頭市物語』でした。

私は勝新太郎さんがリアルタイムで生きて喋っているところを見てない世代です。なので、映像の中の勝新太郎さんがすべてです。電車に乗って映画館に行って、チケットを買って、席に座って。上映が始まって。『斬る』が先で、二本目が『座頭市物語』で。『斬る』に圧倒されてうわわ……となっている目の前で『座頭市物語』が始まって。見て。

「『映画が好き』なだけで映画を好きでいてもいい。今しんどいなら全部やめて、俺の映画を見ればいい」

ってスクリーンの中から声が聞こえてきた、みたいな。そんな気持ちになりました。

 

全部やめました。面倒なファンダムも抜けました。勝新太郎さんの映画が上映されると聞き付けて、色んな名画座に通うようになりました。これはコロナ禍以前の記憶であり記録なので現在とはかなり違う面もあるとは思うんですが、勝さんの映画を見に行くと年嵩の男性のお客さんが多かったような気がします。仕事を終えて、勝さんが監督・主演した『顔役』を見たくて上映開始ギリギリに駆け込んだ私に「この席空いてるよ!」って教えてくれたおじさん、今も映画館に通ってますか? せっかく勝さんのなんらかの記念上映(なんだったっけな)に来たのに隣の席の女性がずっとスマホをいじってて、消してくれませんかって言ったら「上映始まったら消す」って言われて席ガチャしくった〜って頭を抱えてる私の反対側の隣の席から「今すぐ電源落として、迷惑だから」って言ってくれたお兄さん、お元気ですか。(あとでお礼言ったら「(私)が注意した時に消せって話だよね」って笑ってました)

いや、男性との思い出ばかりじゃないな。市川雷蔵さんとの共演作品を見に行ったら雷蔵さんのファンと思しき和服姿の素敵なご婦人がいっぱいいて、素敵だ〜って思ってたら私を見付けてくれて「若い方が雷蔵さんを見に来てる!」って喜んでもらったこともありました。なんか全部が懐かしいや。

 

勝さんのおかげで、私は今も映画が好きです。面倒臭いファンダムにはその後も色々と関わってしまったけど(香港映画以外でもなんかもうめんどくさいなぁ!という人間関係がいっぱいあった)、私は常に「勝新太郎さんがいちばん好き」という気持ちで生きてます。もう映画見るのやめようかなと思う瞬間ももちろんあるけど、あの日の映画館からの帰り道を思い出すと元気になれます。

大丈夫。私は大丈夫。私を大丈夫にしてくれてありがとう。

 

勝新太郎さん、お誕生日おめでとうございます!

画像は貼らない! 転載になっちゃうからね! 

私のおすすめはもちろん『座頭市物語』、そして『顔役』です。勝新太郎さんは最高で最強。

ではね。